2005年10月

能登カフェへ

半年前のオープン以来、いつか訪れたいと思っていた。
準備段階のメルマガ「能登カフェ企画」の頃から。
それというのも、
計画通りに順調に進んでいるのではなく(失礼)、
周りを巻き込みながらいつの間にか物事が進展している、
という様子が非常に興味深かったため。
たぶん店主のお人柄だろうと思っていた。
HPを覗けば、
経済的な成功ではなく、存在の意味を求めていること、
周囲に受け入れられ、そして影響を与えていきたいと
考えておられる様子が伝わってくる。
とても誠実で、我は張らないが意思が強く、
イメージ通りの「能登の女」だ。

その能登カフェに、今日の夕方、ついに訪れる。
能登島は思っていたよりも広い。
えの目の集落を通り抜けてしまい、
だんだん不安になって来た頃、お店はあった。
セットバックした民家で、看板はない筈、
とブログで得た情報を頼りにたどりつく。

迎えてくれるのがハリーくんか…!
と思いながら、そしらぬ顔で奥へ入る。
(相方はその賢げな様子にめろめろ)
そしてさりげなーく周囲を見回す。
建具や家具はできるだけ民家時代のまま。
メニューはできるだけ能登のものを使って。
ぜんぜん無理なく、漁村に憩いの場がある。
方向性としては、珈琲が飲める舟小屋のように。
それに加えて、
思わず「自分も関わりたい→何か出来るかも」
と思ってしまう、そんな雰囲気がある。
開放的なのかな。私も巻き込まれたい。

石川特産五郎島さつまいものムース、
レモングラスのシフォンケーキ、
そして、
能登の珈琲焙煎屋クラムボンのコーヒーを選択。

相客のおこさまがたが暴れている。
木の床で跳ねる。築百年の民家は、
そういう仕様にはなってないと思うぞ。
あんなにもの静かだったハリーが吠える。
何事かと店主が見れば、外のテーブルで子供、跳ねる。
(おいおい)
店主は親に注進しなければならない。
全く、外に開かれたスペースというのは何者が来ても拒めない。
それでもにっこり、店主はお見送りだ。
そんなことよりもっと避けがたいわずらわしさも、きっと。

日曜日の午前中に外のテーブルでムースを食べる常連さん、
コーヒーを注文する小学生たち、
能登島への移住を夢見ている人たちのために、
そして何より、
能登島発の何かをと思っている自分と大勢のために、
今日もにっこり働いていると思う、千さん、と皆さん。
がんばってください。お体は大切に。

能登カフェでは能登島にある窯のカップ(什器もこれ)、
農産物など、地元に縁ある品々も扱っている。
私は七尾の和蝋燭と燭台を選んだ。
今、テーブルの上でほっこりと冬のあたたかさを演出中。
ホワイトチョコレートのようにこっくりあたたかい白。
単色の赤には、金色のペンで雪の結晶を描き入れてみた。
赤と金で、ちょっと中国寄りのクリスマス風味になった。
能登、大陸に近いもんね、と自分を納得させる。
能登に雪が降る前に、もう一度行きたいな。

チョコレート祭り(プチ)

今日の主役はチョコレート。

今の季節、イタリアはペルージャでは
その名も麗しき「チョコレート祭り」が開催中。
チョコレートの即売会、
チョコレート製品の実演販売、
ホテルではチョコレートづくしのおもてなし。
チョコレートのシャンプーなんぞ当たり前、
夢の世界であります。

そこで我が家も、遠きペルージャを偲んで
チョコレート祭り(プチ)。
おいしいチョコレート屋さんにいって、
一人3粒ずつ選びました(とても真剣に)。

ワインはこれ。
アルトス・デル・ドュラトン[2001]
【赤】【スペイン:カスティーリャ・レオン】
【品種:テンプラニーリョ70%メルロ15%シラー10%
    カベルネ・ソーヴィニヨン5%】

そしてその他(その他?!)はこんなふう。

岡田さんのフェトチーネ
(ブロッコリーとトマトだしのソース)
岡田さんのバジリカータを使った鶏と豚
キャベツ、エリンギ、カボチャ 檸檬バターで
岡田さんのパルミジャーノ煎餅
tのフルーツとナッツが詰まったカンパーニュ
チョコレート!!
アッサムCTCとアップルパイ

お腹いっぱいです。
今日は朝からよく働いたので、
どれもとてもおいしかったです。
「t」のパンはどれもおいしくて、
あったら買うものがどんどん増えていきます。
今日の、カンパーニュ生地にナッツとドライフルーツも、
それから同じ生地にチョコチップを混ぜ込んだ三角くん、
プレーンのベーグルに無花果ジャムとクリームチーズ、
長野の紅玉ジャムを入れたアップルパイも。
そして不定期に焼かれるおいしいサプライズたち。
最近は週2ペースで通っています(やばす)。

漆の杯、教えるということ

高台付きの、古典的な杯に漆を塗る。
木地屋さんがつくってくれた杯に、
布で補強し、目地をつめて、やすりがけ。
お下地の漆を塗って、やすりがけ。
そして仕上げの漆。

2つ組なので、ペアになるようにと考えた。
黒×黒のと、朱×朱にした。
(朱は器の内側だけ。外は2つとも同じ黒)
黒の下地をやすりがけして薄くなったところに、
同じ黒で模様を描く。朱も同様。
丸と曲線で構成した抽象的な模様にした。
柄は違うが、同じようなイメージを持たせる。
筆で正円を描くのは難しいが、面白い。
筆の跡はしばらくすると見えなくなる。
ガラスや陶器を相手の作成とは違って、
納得いくまで、自分のペースでできるのがいい。

すっかり漆のファンになってしまった。
食器でも、漆のものがあると寄って行く。
でも私の求めるものとは違う気がして、
未だうちの漆物は汁椀とお箸だけだ。
そして自分で作った拭き漆のスプーンが数本。

漆の講師nさんは、
失礼ながら教えるのに慣れているわけでもないが、
何か惹き付けられるものがある。
自分が大切に扱われているような気持ちになる。

たぶん何かを教えるということは、言い換えば
相手にわかりやすく説明するということで、成否は
相手をあらゆるレベルでよく見ているか、にかかってくる。
例えば道順を訊かれたようなときでも。
この人は何を知りたいのか。
どう説明したらこの人にしみ込むか。
相手をよく(時間ではなく、深度で)見ればわかってくる。
技術者として優秀でも、
教えるには向かないということは、
その人は相手をよく見ていないのだ。

いしいしんじさんのこと

最近まとめて読みました。
彼を(今の時点で)代表するものは、
『プラネタリウムの双子』
『アムステルダムの犬』ですね。断言。

女性を心地よい道具として見るのが好きなのかなあ。
それを人はマザコンと呼びますね。
古くは谷崎潤一郎とか、最近だと中期の島田雅彦さん?
夢枕獏さんにもその傾向が。
そしていしいしんじさんですよ。
うねるように物語は進んでゆき、
その波にゆられながら私たちは連れ去られる。
実際何か、何千匹ものうなぎの群れの
黒い波のような質感なのだな、その流れは。

彼らにとって他人は訳わからん闇などではなく、
心地よい、またはぞっとするような質感を伴う
肌触りの感じられる存在なのですね。
そういう、男性的な描写が好きです。
実在している他人をしっかり相手取ることのできる精神的タフさ。
そのタフさがあってこそ、
実在している筈の私、そして他人が、
わけわからん逸話の登場人物になる意味がある。
むちゃくちゃなことやる人がいたとしても、
その人なりの理屈が通っているから、
どんな行動についても納得はできないけど理解できる。

いしいさんご本人はものすごく理屈やさんなんじゃないかな…
理屈やだから、スタンダードじゃないものに惹かれるのだと思うよ。
ご本人、hpによれば浮浪者とか老人とかが好きらしい。
たぶん「その人なりの理屈」を探し出すのが快感なんでしょう。
人への根本的な信頼感がある、ということかな。
そういうタフさ、自分には全くない部分なので、
たいへん面白く興味深く読みました。
ブログもお気に入り。日課です。
気に入ったのは、
「旅行から戻った日、地元の駅で居酒屋のお兄ちゃんが客引き。
大阪弁風味の低い声で「ああ?」って言ったら逃げた」とか、
「デラウェア!(間投詞)」と「デラウェア!(名詞)」とか。

チャーリーのチョコレート工場

(以下ネタばれ含む。注意)


印象に残ったのは、
1 チョコレートが手に入るタイミング。
 約束されている誕生日の贈り物ではなく、
当然予想されるおじいちゃんの「へそくり」でもなく、
街頭で、本人が拾ったお金で当てたこと。
幸運は、つかみとるもの、という導入部は質実剛健でよい。
物語ははっきりと勧善懲悪であることを示される。

2 お母さんがいい。
不幸顔。この女優さん他にどんな役やってるのかな?
はっきり言って大変な状況なのに、
(貧乏で、ダブル両親と同居!しかも一部屋!?)
お父さんのことがとても好きで、失業した彼を
庭でそっと包むように慰めるシーンがとてもよかった。

以下雑感。
ウォンカさんの紹介を人形がやるやつ、最高。
子供の頃の私が見てたら、これはもうホラーです。
家にあった人形が怖くなり、同じ部屋では眠れないな、
きっと。みんな強いのね…(実は今でもちょっと怖い)

チャーリーの他に工場に招かれたのは四組の親子。
上昇志向母子と資本主義息子+ダメサヨ系親父は
現代社会の病質を代表し、
成金肉屋の坊やと成金実業家のお嬢は近代社会のモデル。
近代→現代の狭間に成立した原作としてはよくできてる。
時代はまたぐるっと回って、
上昇志向はださい、素直に成金マンセー!になって、
今後の流れとしては当然、
ダメサヨ系が注目株ですかね、天然生活風味の。
(注)特定雑誌の批判ではありません。てか毎号購入してます。

我が家ではしばらく、
かしっと頭蓋を掴み、コンコンと中身をチェックする動作
が流行しましたです。リス最高。
子供の頃から密かに憧れていた、
とても有益で自分に向いているとイメージする仕事そのものだな。
…現実に同じような仕事を探すのはなかなか難しい。

そして、ウンパ・ルンパ!
私だ、これ。家にいる私。どうして知ってるの?
このリズム感、転調さ加減、
そして無表情に増殖してるとこ。
ああ、私の真の姿が!
と空いた口が塞がらない二時間でした。
みんなそう思うのかなあ。

おまけ~ウォンカさん=TMレボルーションの西川さん、
ウンパルンパ=安達祐実ちゃん、てのはもう定説? 
プロフィール

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